JR東日本・JR北海道・JR西日本は、東北・北海道新幹線、北陸新幹線の最上位座席「グランクラス」で提供している車内サービスを2022年10月1日(土)にリニューアルしました。
なぜ“冷凍方式”に変更?
国内の新幹線で初のファーストクラスに位置付けられるグランクラスは、2011年3月に東北新幹線で運転開始したE5系車両「はやぶさ」でサービスを開始しました。ゆとりある快適な座り心地のシート、洗練されたインテリアがつくる上質な空間には専任のアテンダントが乗務し、食事やドリンクをはじめ、一人ひとりの要望に応える車内サービスを提供しています。導入区間や車両は順次拡大され、現在は東北・北海道・上越・北陸の各新幹線でグランクラスを連結した車両が運行しています。
今回、車内サービスがリニューアルされたのは、東北・北海道新幹線「はやぶさ」と、北陸新幹線「かがやき」「はくたか」で営業しているアテンダント乗務の「グランクラス(飲料・軽食あり)」です。より幅広い利用者層を意識した供食スタイルへと見直されたほか、「食品ロス削減」「プラスチック削減」といった、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みも合わせて行われています。
これまでグランクラスでは、地域ごとの食材や味覚を中心に、路線別・上下別で異なる「軽食」メニューが提供されてきました。リニューアルにより、全路線共通となる軽いお食事「リフレッシュメント」の提供に変わり、好みに応じて洋食と和食の2種類から選べます。
一口サイズで味わえる洋食は、食の協業プラットフォーム「Social Kitchen TORANOMON」のシェフ、森枝幹(もりえだ かん)氏が開発を監修し、食のセレクトショップ「DEAN & DELUCA」がグランクラス向けに初めてプロデュースしたものです。和食は「分とく山」(東京都港区)の総料理長で、時代感覚を取り入れた独創的な料理を提案し続ける日本料理界の重鎮、野﨑洋光氏が監修しています。リフレッシュメントは今後、季節ごとに内容の変更が行われる予定です。
リフレッシュメントの供給方式はこれまでの生食から冷凍へと変更され、廃棄数を抑えることで食品ロス削減がより推進されます。また、カトラリー包装はプラスチック製から紙製に変更、スプーンフォークにはバイオプラスチックが使用されるなど、可能なものから順次、プラスチックの置き換えが進められます(リフレッシュメントや飲み物メニューなど詳細は下の図表を参照)。
公式サイトも“リラックス”路線に変更
飲料サービスも全路線共通メニューとなっています。赤ワイン・白ワインは、東京ステーションホテルのシェフソムリエ、鈴木利幸氏がリフレッシュメントに合うワインとして醸造を監修したもので、グランクラスオリジナルのボトルで提供されます。日本茶やりんごジュースについても、鈴木氏が監修したものに刷新されました。ビールやノンアルコールスパークリングワインなどは引き続き提供されますが、一部の飲み物については提供終了となっています。また、飲み物と一緒に楽しめる“おつまみ”は、能登半島で作られた天日塩を使用した「しおちょこ」にリニューアルされています。
従来、すべての乗客に提供されていた茶菓子は、食品ロス削減の取り組みとして、アテンダントへのリクエストがあった際に提供する方式に切り替わりました。これまで監修を行ってきた、ホテルメトロポリタン エドモント(東京都千代田区)の総料理長である岩崎均氏に代わり、同ホテルでシェフパティシエを務める井山架展(みつひろ)氏が監修した「信州産あんずのパウンドケーキ」が提供されます。なお、茶菓子のメニュー変更はこれまで季節ごとに行われていましたが、今後は半年ごとの入れ替えとなります。
以上のリニューアルに伴い、グランクラス専任アテンダントの乗務体制が2名から1名へと変更されました。グランクラス料金に変更はありません。上質感にこだわっていたグランクラスの公式ホームページも一新され、新しいキャッチコピー「SMART PREMIUM CABIN」とともに、自分らしさや心地よさ、リラックス感を前面に打ち出したやわらかい印象のデザインへと改められています。
なお、一部の列車では2021年3月26日からすでにアテンダント乗務が1名に変更されており、発売座席数が1列車あたり12席までに制限されていましたが、今回のリニューアルにより制限は解除され、全18席の発売に戻っています。また、上越新幹線の全列車と、東北・北海道・北陸新幹線の一部列車ではアテンダントが乗務しない「グランクラス(飲料・軽食なし)」で営業しており、リフレッシュメントやドリンク類の提供は行われません。